雑誌では、こんな特集が組まれている——記事は「企画」で作る
雑誌では、こんな特集が組まれている——記事は「企画」で作る
記事を書き始めたあとでつまずきやすいのが、記事の進め方です。1本は書けても、思いつきで書き足していくうちに続きにくくなる。雑誌では、記事をばらばらに足すのではなく、特集というまとまりで計画します。
雑誌をめくると、表紙にいちばん大きく書かれているのが「特集」のタイトルです。編集部は、記事を1本ずつばらばらに作っているのではありません。まず「何を、どう見せるか」という計画を立て、その計画に沿って記事をまとめて作ります。
この計画の単位を、ここでは「企画」と呼びます。サイト全体のつくり(ブログのように書き続けるのか、小さな専門サイトを作り切るのか、といった選択)を「型」と呼ぶなら、企画は記事の単位です。型は意識しながら進め、企画はサイトを続けるかぎり何度でも立てるものです。ライフスタイルブログでも特化型でも、企画の立て方は同じです。
ここでは、実際の雑誌でどんな特集が組まれているかを見ながら、そこから企画の立て方を学びます。
特集タイトルの実例
実際に販売されている雑誌の、直近1年ほどの特集タイトルを集めてみました。まずは実例をご覧ください。
- 『LDK』——「シャンプー&トリートメント 15製品TEST 2026」「無印良品 \丸っと/大特集」「人生変わった!買ってよかったもの」
- 『サンキュ!』——「年100万円以上貯め続けてる人の家計と暮らしのリアル」
- 『Tarzan』——「週に10分で、あの日のカラダに帰るストレッチ習慣。」
- 『BE-PAL』——「最新テント100 ガチ張り徹底検証!」「みんなのソロ活80選」
- 『山と溪谷』——「厳選!全国絶景低山100」「南アルプス大全」
- 『オレンジページ』——「パーフェクト夏麺!」
- 『BRUTUS』——「釣りの入口。」「お金、はじめる。」
- 『OZmagazine』——「横浜でしたいこと30」
- 『シティ情報Fukuoka』——「ラーメン新時代」
どのタイトルも、読者の顔を思い浮かべ、「何を、どう見せるか」を決めてから作られていることが伝わってきます。
テントをただ紹介するのではなく、100張り集めて検証する。貯金のコツを語るのではなく、実際に貯め続けている人の家計を見せる。特集タイトルは、企画がそのまま言葉になったものです。
特集タイトルの原文をもっと広く見たいとき、企画の型を12種で整理した一覧は、別記事『雑誌の特集に学ぶ、企画の型』にまとめています。ここでは、特集が「企画の言葉」であることを実例で押さえるところまでで十分です。
特集には、繰り返し使われる作り方がある
こうしたタイトルをたくさん並べていくと、雑誌が違っても、同じ作り方が繰り返し使われていることに気づきます。主なものを挙げましょう。
比べる。「シャンプー&トリートメント 15製品TEST 2026」や、同じ『LDK』の「コストコVS大容量スーパー おトク度決定戦」のように、複数の商品や店を同じ条件で比べて確かめる企画です。サイトなら、「加湿器5台を自分で買って1か月使い比べた」のような記事のまとまりになります。
試す・やってみた。「人生変わった!買ってよかったもの」や、『BE-PAL』の「2025 to 2026 キャンプギアヒットランキング」のように、実際に使ってみた結果を報告する企画です。自分のお金と時間を使った体験は、それだけで他にはない情報になります。
集める。「南アルプス大全」や『BE-PAL』の「ホームセンター大全」のように、ひとつのテーマに関するものを集めて並べ、一覧できるようにする企画です。図鑑やカタログのような作りになります。
数字で区切る。「厳選!全国絶景低山100」「みんなのソロ活80選」「横浜でしたいこと30」。数字を入れると、規模とゴールが一目で伝わります。100や80はすぐには無理でも、「10選」「5選」なら個人でも作れます。
教える。「釣りの入口。」「お金、はじめる。」、『山と溪谷』の「新・登山アプリと読図の基本」のように、これから始める人に向けて基本や手順を解説する企画です。ハウツー記事は、この作り方にあたります。
実例を見せる。「年100万円以上貯め続けてる人の家計と暮らしのリアル」のように、実在の人の暮らしや数字をそのまま見せる企画です。サイトなら「わが家の食費、全部見せます」のような記事になります。
季節に乗る。「パーフェクト夏麺!」や『LDK』の「\まじラク落ち!/大掃除術」のように、毎年めぐってくる季節の関心に合わせる企画です。夏には夏の、年末には年末の特集が、毎年組まれています。
比べる、試す、集める、数字で区切る、教える、実例を見せる、季節に乗る。雑誌で繰り返し使われてきたこれらの作り方は、サイトの企画でも使えます。12種に分けた一覧と、誌別の特集タイトル原文は、別記事に掲載していますので、そちらも参考にするとよいでしょう。
比較も体験記も、サイトの種類ではなく企画
ここでひとつ、整理しておきたいことがあります。アフィリエイトの解説では、「比較サイト」「体験記ブログ」「ハウツーサイト」「図鑑サイト」のように、記事の作り方がサイトの種類として語られることがよくあります。
しかし、いま見てきたとおり、比べる・試す・教える・集めるは、雑誌で言えば特集の作り方です。比べる特集を売りにする『LDK』の同じ号にも、「人気スーパーマーケット 新攻略術」のような教える特集が並んでいます。ひとつの雑誌は、いろいろな作り方の企画を組み合わせてできています。
サイトも同じです。ライフスタイルブログの中で家電を比べる企画を立てることもできますし、キャンプの特化型の中で寝袋を比べる企画を立てることもできます。資格のサイトの中に受験の体験記を置くこともできます。
比較・体験記・ハウツー・図鑑は、サイトの型としてどれかひとつ選ぶものではなく、どんなサイトの中でも何度でも使える企画です。
こう整理しておくと、「比較サイトにするか、体験記ブログにするか」と入口で悩む必要がなくなります。
1つの企画が、記事群になる
企画で考えることには、もうひとつ大きな利点があります。1つの企画が、複数の記事となっていくことです。
雑誌の特集は、1ページでは終わりません。『シティ情報Fukuoka』の「ラーメン新時代」は、新店から老舗まで約70店を載せた特集です。特集の扉があり、店の紹介が続き、まとめのページがある。特集とは、そもそも記事の束なのです。
サイトでも同じことができます。たとえば、地元のもつ鍋の店を5軒紹介する企画を立てたとします。この企画は、次のように記事に分解できます。
- 5軒をまとめて紹介する記事——1本
- 1軒ずつ詳しく紹介する記事——5本
- 初めての人に向けた、店の選び方の記事——1本
企画1つで、書く記事が7本決まりました。まとめ記事から各店の記事へ、各店の記事からまとめ記事へとリンクでつなげば、読者は興味に合わせてサイトの中を行き来できます。
企画で考え始めると、「次に何を書くか」の悩み方が変わります。今日書く1本をその場でひねり出すのではなく、まず企画を立てて、そこから記事の束を取り出す。雑誌の編集部が毎号やっているのは、この作業です。
雑誌の特集を3本、自分のテーマに作り直してみる
最後に、実践方法をひとつ紹介します。雑誌の特集を、自分のテーマに題を作り直してみることです。特化型でも、ライフスタイルブログのなかで寄せたい柱でも使えます。手順は3つです。
- 自分のテーマに近い雑誌を1〜2誌選んでみましょう。本屋で手に取ってもよいですし、雑誌の読み放題アプリや出版社公式サイトのバックナンバー一覧でもかまいません
- 過去1年分の特集タイトルを書き写してみましょう。中身まで読まなくても、タイトルだけで企画は十分に学べます
- そのうち3本を、自分のテーマに置き換えてみましょう
たとえばキャンプがテーマなら、「人生変わった!買ってよかったもの」は「私が今年買ってよかったキャンプ道具ベスト5」に。「厳選!全国絶景低山100」は「駅から歩けるキャンプ場20」に。「無印良品 \丸っと/大特集」は「無印良品のキャンプで使えるもの10選」に作り直せます。
作り直した3本は、そのまま次に立てる企画の候補です。そして、その1本1本が、まとめ記事と個別記事の束に分解できます。雑誌の特集は、長く読者に選ばれてきた企画の実例です。本屋の雑誌コーナーも、企画のヒントを集める場所になります。